腰椎すべり症と内視鏡治療(FESS:PEL/FEL治療)

 

すべり症と一言で言っても、分離すべり症と変性すべり症がります。

内視鏡治療FESS(Full Endoscopic Spine Surgery):PEL・PELD治療の適応となるのは、原則は変性すべり症です。

分離すべり症は、中学・高校生の頃の腰骨の疲労骨折が原因です。その疲労骨折が完治していないためすべり症になっています。原則は腰椎固定術（ボルト手術）となり、FESS* (PEL/PELD)の治療適応外になることが多いです。

*FESSとPEL/PELDとは同じ意味です。学会の都合で呼び方が近年変わりました。

 

変性すべり症

レントゲン

第４／５の腰骨がすべってます。

 

MRI

大きな神経（ばび神経）が圧迫されています。(〇印)

 

 

 

分離すべり症

レントゲン

第５腰椎/第１仙椎のすべり症があります。

さらに第５腰椎の疲労骨折があります（▲印）

 

MRI

すべり症のある部位には大きな神経（ばび神経）の圧迫はありません（〇印）

 

しかし、枝の神経（神経根）の圧迫を認めます（▲印）

 

＊ようするに、変性すべり症と分離すべり症では圧迫される神経が異なります。

変性すべり症→ばび神経（太い神経）の圧迫

分離すべり症→神経根（神経の枝）の圧迫

 

 

●では、どのような変性すべり症が手術適応となるのでしょうか？

ずばり、腰部脊柱管狭窄症と同じ症状のときです。

お尻の痛み・しびれ、足のしびれ・痛み、歩行障害、間欠性跛行（歩き始めは良いけど、歩いていると足がしびれてくるときです）があり、お薬やリハビリやブロック注射などを行っても良くならないときです。

 

 

●FESS: PEL/PELD治療ですべり症もよくなりますか？

すべっている骨までは良くなりません。すべっている骨を戻すには固定術（ボルトの手術）が必要となります。

↓↓ボルト手術（固定術）

 

しかし、神経の圧迫はとれるため神経症状は良くなってきます。　歯医者の感覚に近くて、２，３回の虫歯治療だけで歯並びまでビシっと良くなりませんよね！　歯並びまで良くするには矯正（ブリッジ治療）が必要なのとおなじ要領です。　FESS(PEL/PELD)治療は痛み・しびれ（神経症状）を出している虫歯治療を日帰りでしましょう！です。　すべり症（歯並び）までをビシッと良くする、いわゆる歯並びまで矯正するにはボルト手術となります。

 

 

●どのような場合、矯正固定術（ボルト手術）が必要で、どのようなかたが、虫歯治療のPEL/PELD治療対応可能ですか？

固定術（ボルトの手術）：若いかた、再手術のかた、分離すべり症のかた、せぼねの変形による腰痛のかた、

FESS (PEL/PELD)治療：女性のかた、70才以上の男女、神経症状がメインのかた、など。

※この辺りの適応については、詳細な部分は伝わりにくいですので遠慮なく診察室でお聞きください。

 

 

変性すべり症の患者さんのFESS (PEL/FEL) 治療です。

82才男性　第４／５腰椎変性すべり症をともなう脊柱管狭窄症のPEL治療です。

手術前　レントゲン

第４/５腰椎のすべり症です。

 

手術前MRI

大きい神経（ばび神経）の通り道が途切れています（中央図）。右図で▲に囲まれた大きい神経（ばび神経）の通り道が狭くなっています。痛そうです・・・

 

手術後MRI

途切れていた大きい神経（ばび神経）の通り道が開通しているのが分かると思います（中央図）。右図で▲に囲まれた大きい神経（ばび神経）の通り道が広がっていますね！神経の圧迫はキレイにとれます。すべっている骨までは良くはなりませんが、神経症状は改善してきます。82才のかた（とくに女性）であれば、ボルト手術までしなくても日帰り内視鏡治療FEL/PELで対応可能だと考えています。

 

 

 

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